真心ブラザーズ@日比谷野外音楽堂

素晴らしかった。

我々は「2006年に真心ブラザーズのライブを体感出来る」ということがどれだけ凄いことなのか、その奇蹟に改めて感謝しなければいけない。誰に?いや、知らんけど。


普通にMB'sでドカンと最初から最後まで盛り上げるライブなのかと思いきや、第一部は2人だけで弾き語り。これは予想していなかっただけに驚く。相変わらずのダラダラしたトークを混ぜつつ、30分ほど。「おぼろげな春」は本当にこの時期にピッタリ。

15分休憩を挟んでの第二部。MB's勢ぞろいでさあ行くぞ!と思ったら「JUMP」でゆったりと離陸。「BABY BABY BABY」辺りで華々しいオープニングを予想していたので、ちょっと肩透かし。でも「空にまいあがれ」「I'm in love」で最初の涙腺緩みポイント到来。

まさかの「どかーん」を中盤でサラっとやってしまうところが小憎らしい(笑)。朝霧ではサプライズ的なアンコール曲だったのに。そして弾くパートが全く無いのにステージに残り、客の誰よりも踊りまくっている文明さんが素晴らしい。ああ、すかんち再結成、楽しかったなあ(関係ない)。

マイ・バック・ページ」が地味に良くなっている。朝霧で聞いた時よりも、サンプラで聞いた時よりも。4人だけのシンプルな演奏が今の真心の好調さをダイレクトに伝えてくれる。活動休止前は全然好きな曲ではなかったのになあ。今はライブで聞くのが楽しみな1曲だ。(今日はやらなかったけれど、同様に「マイ・リズム」も。この辺の曲を聞くと、復活以降の真心・MB'sのフィジカルの強さが本当によくわかる。)

そして「日曜日」が始まった瞬間、思わず「おおぉ…」と溜息を漏らす。えー、個人的な話でございますが、真心のライブを初めて見たのがこの野音で、1995年。名盤「KING OF ROCK」を携えた真心ブラザーズ(そうだ、丁度「THE」が取れたところだ)は、そのアルバムにも参加したフィッシュマンズを対バンに迎えた(あとThe Chang、ザ・カスタネッツの計4バンド)。正直言うと、もうその時の記憶は薄れかかっているんだけど、フィッシュマンズをバックに「日曜日」をやったことだけはよく覚えている。僕にとっての「真心@野音」の原体験。…11年(!)経った今、またこの場で「日曜日」が聞けるとは。聞けるのかあ。つーか、そもそも真心が復活したんだよなあ。って、そこまで戻るか。今更実感するなよ。という感じで、偉くグッときてしまった。これまた演奏が素晴らしかった。

更に個人的な話でございますが、野音に来るとどうも酒を呑みすぎて仕方が無い。呑みすぎてライブ後半は酔いつぶれる、なんて粗相も幾度となくしていて(苦笑)この日も性懲りもなくいい感じに酩酊していた。が、「日曜日」が始まった瞬間に「いかん、これはベロベロになってる場合じゃない!」と背筋が伸びて、一気に意識がクリアになった(笑)。いや、別にそれまでもボーっと見ていた訳ではないんだが。とにかくハッ!とさせられた。この曲で。

そして久々の「愛のオーラ」!この流れはちょっと凄すぎる。油断したら、その場で倒れてしまいそうだった。手に持っていた缶チューハイを握り締め(笑)必死に意識を保つ。二度目の涙腺ポイント。しかしギリギリで踏みとどまる。なぜなら一番の見せ場で倉持が間違えたから(笑)。大サビの前のブレイクするところな。そこ間違えちゃダメでしょー。思わず笑ってチューハイ呑みほしたわ。

終盤、「BABY BABY BABY」「COSMOS」というソウルフルな流れも良かったけど、それ以上に良かったのが「Dear, Summer Friend」。いや、実を言うとこの曲自体はそんなに好きではなかった。いい曲だし真心らしいと思ったけど余りにも「真心らしすぎた」し、言ってしまえば手癖で作ったような曲だし、何よりも明らかに衰えを見せた倉持の声にショックを受けた。それがこの日は、まるで10年前からあった曲だと錯覚するくらいに堂々と存在していたし、倉持のボーカルも違和感は無かった。前述の2曲と並べてみても、全く見劣りしない楽曲だということに今更気づかされる。もう「復活前」とか「復活後」とか、そんな単語は不要なのかもしれない。


一夜限りの限定メニュー、「春らしい、野音に似合う曲を」という基準で選ばれたセットリストは定番の「愛」「ENDLESS SUMMER NUDE」「新しい夜明け」を容赦なく外す思い切ったメニュー。「新しい夜明け」は最後にもう1回アンコールでやってほしかった気もするが、すぐツアーも決まっていることだし贅沢は言うまい。というよりも、この定番外しが逆にツアーへの飢餓感を煽るのでは?(笑)いいねえ、商売上手。

さて、いよいよ次は新作を発売してのツアー。過去の名曲をこれでもかこれでもかとばかりに並べまくるという訳にはいかない。「今の真心のライブが底抜けに楽しいのは、もしかしてベスト盤的な選曲だからなのか?」という不安が実はほんの少しだけあったりもしたけど、この日の「Dear, Summer Friend」を聞いて不安は無くなった。NHKホールが非常に楽しみだ。


しかしRSR・朝霧・AX・サンプラと見てきたが、ことごとく期待を裏切らない。ハードルはどんどん上がっているはずなのに、ひょいひょいと飛び越えていく真心ブラザーズ。倉持のジャンプは未だ高さを失わない。

【セットリスト】

  1. 荒川土手
  2. 軽はずみ
  3. 僕は喜劇王
  4. きいてる奴らがバカだから
  5. おぼろげな春(ここまで第一部:弾き語り)
    〜第二部
  6. JUMP
  7. 空にまいあがれ
  8. I'm in love
  9. どかーん
  10. マイ・バック・ページ
  11. Son of the Sun
  12. 橋の上で
  13. 日曜日
  14. 愛のオーラ
  15. BABY BABY BABY
  16. COSMOS
  17. Dear, Summer Friend
  18. 拝啓、ジョンレノン
  19. RELAX〜OPEN〜ENJOY
    〜Encore
  20. 情熱と衝動
  21. EVERYBODY SINGIN' LOVE SONG