the pillows@AX

簡単に言ってしまうと、ピロウズ・マニアックスが喜ぶマニアックな選曲のライブ。でもそれがマニアックなだけに留まらず、最終的にはロックミュージックのど真ん中をぶち抜いていくくらいのカタルシスを味あわせてくれるというのが、ピロウズの素晴らしいところだ。

それにしても極端だなあ。シングル曲が僅か3曲。ミスチルとのカップリング・ツアーでの選曲とは対照的。あのツアーに足を運んだピロウズファンは、恐らく大半の人が選曲に不満を抱いたと思うんだけど、今回はその鬱憤を晴らすかのような痛快なセットリストだった。やっぱりあのツアーはミスチルに寄せすぎてたよな。別にこれをこのままやれとは言わないけど、やっぱりこういう部分もバランス良く混ぜてほしかったなあと改めて思った。

あの日のレポは結局書いてないんだけど簡単にまとめると、ミスチルファンの感想は

  • ミスチル勿論良かった(あんな狭いハコじゃ見れないし)
  • ピロウズ案外良かった(初めて見る人が殆どだとしたら、セットリストは関係無い)

で、ピロウズファンの感想は

だったと思うんですよ。何かこう、ピロウズファンだけがピロウズに失望して帰っていったような、そんな気がする。勿論やってる本人たちは楽しかったんだろうけど。見ているこっちとしては、何だかとても歯痒いライブだった。

今回のライブがピロウズ王道!かと言うと、さすがにそうとは言い切れない。でも「come down」のような英詞のガレージロック、シンプルなメロディーとリフのロックンロール「Degeneration」、キラキラとしたポップソング「Kim deal」、ディスコビートのダンスチューン「ROBOTMAN」と、これだけ並べてみても何とバラエティーに富んだ選曲なのか。本当にマニアックな選曲なのに、ある意味ピロウズの全ての面を見せつけてくれて、ミスチルとのツアーで感じたもやもやを全て吹き飛ばしてくれた気がする。

3曲のみ演奏されたシングル曲の中で異彩を放っていたのが「NO SELF CONTROL」。確かにこうやって改めて聞いてみると、最近の研ぎ澄まされたロックンロールとは違う、若い頃の勢いと荒々しさが詰め込まれた曲だ。ライブでここ最近の曲と混ぜるには、ちょっとカラーが違って浮いてしまう。こういうタイミングでしかやれないよね。今回、一番「聞けて良かった!」と思った曲かな。

移籍云々のMCは無かったような気がするけど、ここ数年口を開けば「俺は毎回ライブに来るのが楽しみで、ワクワクするんだぞ!」と連呼しているのを見ているので、ああ何の心配もいらないんだろうなーと思う。avexだろうと何だろうとあの人は普通のオッサンであり、ロックミュージックをやるしか能が無い、心の狭い山中さわお、そのまんま全く変わらないはず。俺はそれを「心せめーなー、コイツは」とニヤニヤしながら見続けるんだと思う。ロックなんて性格悪い方がいいもの出てきたりすんだよな、これがまた。