真心ブラザーズ×サンボマスター@LIQUIDROOM

先に真心。結構意外だったんだけど、これってサンボ主催のライブなんだっけ?

サンボが挑戦者だとすれば、こっちは王者。余裕さえ感じさせるステージでサンボに胸を貸す…って、それにしたって、ちょっとまったりしすぎなセットリストじゃないだろうか。前半はミディアムの曲中心で聴かせる展開、そして「素晴らしきこの世界」を挟んで後半はぶっ飛ばすかと思いきや「Son Of The Sun」で肩透かし。もう少し「ロック選抜」な感じを出しても良かったんじゃないの?「STONE」やるなら「スピード」「愛」もやろうよ。(と思ったけど、これは最後のセッションでやるんだよね。山さんおいしい曲ばっかり取ったなあ:笑)

【セットリスト】

  1. 情熱と衝動
  2. 空にまいあがれ
  3. この愛ははじまってもいない
  4. 丘の上
  5. 素晴らしきこの世界
  6. Son Of The Sun
  7. STONE〜サンキュー
  8. 拝啓、ジョン・レノン


素早いセットチェンジを挟んでサンボマスター。1曲目にぬくもりが来た時点で「今日は何か違うかも」という予感がした。その通りに、ここ最近では珍しく丁寧にメロディーを歌う山口。間奏のカッティングも心地よい。こうやってメリハリをつけてくれると、大サビ前の「アイ!アイ!」で盛り上がれる。

続く「歌声よおこれ」も丁寧な演奏とボーカル。とにかくこの日は、いちいち「丁寧」と言いたくなるくらいに全てがきちんとしていたと思う。でも別に「おとなしかった」「元気が無かった」訳ではない。サンボの曲が持っているメロディーの美しさと、歌詞の素晴らしさをきちんと伝えよう!という意思が感じられた。高いキーが出ないのは仕方ないとして、そこをシャウトで誤魔化すのではなく、歌えなくてもいいからちゃんと歌詞を言葉で発してたんですよ。その辺が凄く良かった。「歌声よおこれ」とか本当にいい歌詞だなあ、なんてライブで思ったのは久々な気がする。

何で今回こういうライブになったのか。これはやっぱり、客に「ちゃんと歌ってないし〜」と批判されたから、ではなくて(笑)真心のライブに触発されたのではないかと。山口が「とにかくMB'sの演奏は凄い」とMCで連呼していたのが非常に印象的だった。(まあ、「人間的にはどうかと思うが」という枕詞が絶えず付いてましたが:笑)

新曲の「アイラブユー」(表記不明)も良かった。無理の無いキーで作られたミディアムテンポの佳曲。「くだらない世界でも君はいた方がいい 死んだら駄目なんだ」という、どストレートな歌詞にグッとくる。前にも書いたけど「やろうとしていること・歌を向けている対象と、実際に歌っている曲が余りにも剥離している」というのが去年のサンボマスターの悪かったところなんだけど、3rdアルバムとこの新曲でその差はかなり縮まってきたと感じた。昔の「ただただ音楽だけのために生きる男」も好きだけど、こうやって色んなことを背負っていく山口も、今は凄くいいなと思える。やるなら思いっきりやってくれ。

1曲目を始める前に青島幸雄について、そして「手紙」の前にカンニング中島について語っていた。「俺はあの人のことを何もわかっていないけど、ただ忘れたくねえだけだ」芸人が好きな山口らしい。そして「そういえばカンニング竹山と山口は、一時期よく並べられてたよなあ」なんて下らないことも思った。

せっかくだから「拝啓、ジョンレノン」*1やれば良かったのに。もしくは「人間はもう終わりだ!」。ライブでやったことあるんだよね?俺は聞いたこと無いけど。

【セットリスト】

  1. そのぬくもりに用がある
  2. 歌声よおこれ
  3. 青春狂騒曲
  4. アイラブユー(新曲)
  5. 愛しさと心の壁
  6. 世界はそれを愛と呼ぶんだぜ
  7. 手紙
  8. 月に咲く花のようになるの


一旦引っ込んで、いよいよ「世界選抜バンド」の入場。入場SEはロッキーのテーマ。真心の2人が真ん中に立って、その周りをサンボが囲むような立ち位置。あ、そうか。演奏のメインはサンボだから、出順は真心→サンボだったのか。

1曲目はサンボの「夜汽車に乗ってきたアイツ」。シングル曲じゃなくてファーストアルバムの中からとは、結構意外な選曲。ボーカルは山口→桜井→YO-KINGと持ち回りで。サンボがやると凄く切迫感がある曲なのに、サビで倉持が歌いだした瞬間に何だか全然別の感じになってしまったのが面白かったな。倉持が「夜汽車でやってきたアイツ〜!」と歌うと、急にいい加減な感じになるという(笑)。

2曲目は山口ボーカル(ハンドマイク!)で「愛」。この辺はホントに好きな曲なんだろうなあ、とにかく気合十分の山口。ちょっと恐怖を感じるくらいの形相だった。「夜道で正面からあの人が歩いてきたら俺は絶対逃げる」と思ったほど。(それ、どんな?)

ルースターズの「恋をしようよ」を挟んで、タンバリン。これも、意外に倉持のボーカルがハマっていたか。うん、こうやって聞いてみると歌うまいよね(笑)普段は全然そんなこと思わないんだけど。ははは。

一旦引っ込んで再登場。山口がメンバー紹介をしたときに「世界の王様、倉持陽一!」と紹介したところ、結構本気で「いや、違うから」と駄目出ししていた倉持に苦笑。色々といい加減なくせにそこはこだわるのな…改めて「世界の王様、YO-KING〜!」それはそれで“王”が被ってると思うんですけど。

最後は「スピード」。「愛」と同じく凄まじい形相の山口。でもサビの「スピード〜!」という絶叫はちょっと弱かった。うーん、そうやって考えると倉持って凄いんだなあ。あのサビをカッコ良く聴かせることが出来るのは倉持だけかもしれない。

それにしても対照的な絵だった。全てを背負い込もうとする山口隆、パッと見「もうちょっと何か背負えよ」と言いたくなるYO-KING。不思議な組み合わせだ。

【セットリスト】

  1. 夜汽車でやってきたアイツ
  2. 恋をしようよ(ザ・ルースターズ
  3. 全ての夜と全ての朝にタンバリンを鳴らすのだ
    〜Encore
  4. スピード


いつ以来か思い出せないくらい久々に、「サンボいいなあ!」と心の底から思えた。でも「俺の好きなサンボが戻ってきた!」とかじゃないんだよね。色んなところを経て、辿り付いた先がたまたま俺の好きな感じだった。そんな気がする。何か「戻ってきた」とか言うのって、凄く図々しいっつうか(笑)。別に後退した訳じゃないし。

とりあえず来年の対バンツアーに期待したい。今回のように、対バンに刺激を受けて色々変わっていくんじゃないだろうか。また演奏と歌がボロボロになる方向には行かないでほしい。

*1:トリビュートアルバム「真心COVERS」でサンボがカバー