カーネーション@LIQUID ROOM ebisu

【setlist】

  1. スペードのエース
  2. カウボーイ・ロマンス
    -MC-
  3. 獣たち
  4. ルネッサンス
  5. REAL MAN
  6. SE〜SUPER ZOO!
  7. レインメイカ
  8. 気楽にやろうぜ
    -MC-
  9. Miss CRADLE
    -MC-
  10. LOVERS & SISTERS
  11. サンセット・サンセット
  12. セッション〜十字路
  13. セッション〜ANGEL(DEMO)
  14. 魚藍坂横断
  15. Runnin’Wild
  16. ぼうふら漂流族
  17. あの日どこかで
    〜ENCORE
  18. レディ・レモネード(新曲)
  19. パラダイス・エクスプレス(新曲)
  20. 夜の煙突

6〜15,19,20 がサポート入りの5人編成。それ以外は3人。今回のツアーは5人編成と聞いていたんだけど、きっちり3人カーネーションのライブもあり。これは嬉しい。今の3人カーネーションの充実ぶりを知っているだけにね。

オープニングは3人で「スペードのエース」から。スタンダードだなあ、もうこれは。3人カーネーションの代表曲、1曲目として最適。というか、このオープニング何回も見てる気がする(笑)。安定してたなあ。これを見ながら思い出したのは去年の夏のクアトロ。あの時は確かライブ前日にCCCD問題が勃発して、みんな不安を抱きながらライブに行ったんだと思うんだけど、それを演奏のみで納得させるかのような「My Little World」が1曲目だった。あの時の「My Little World」は本当に凄い迫力で、今でも忘れられないんだけど。それに比べると「スペードのエース」は凄く穏やかで楽しくて、ああ良かったなあって思った。

続けて「カウボーイ・ロマンス」。あら?これは5人でやってほしかったなあ。去年の九段でやらなかったのは、サポートを入れてのアレンジが固まってないからだと思ってた。3人でのシンプルな形もいいけど、この曲は派手にやってほしかったなー。

MC。「今日はもうみんなジョー!みたいな」(なぜか失禁?)

直枝さん、どうしたんですか(笑)。壊れてます。大田さんも「いきなりそういうMCって珍しいよね」とツッコミ。わははは。

そして今日のサポートについて。「5人と言ってもこれはセッション的なもので」「決してノスタルジーにはならない」この発言を聞いて「おおっ」と思う。そうなんですよ、5人でライブをやると聞いて「昔の曲をやるのかな?」と期待する半面、少しだけ「今更そこに戻らなくてもなあ…」とも思った訳で。さっきも書いたけど、今の3人カーネーションの凄さを知ってるからこそ、そんな贅沢を思ってしまう。まあ「今の3人カーネーション+α」になるだろうな、と予想はしてたけど、こうしてバシっと言ってもらえて一安心。

「獣たち」「ルネッサンス」と会場限定発売しているCDの2曲を。いやー、この2曲は本当に凄かった!「獣たち」の豪快なリフで貫くロックンロールから、軽快なカッティングの「ルネッサンス」へ流れる、でも何の違和感も無い。特に「ルネッサンス」は先月のAXで聞いた時とはまるで別物の出来。これもツアーで成長してきたんだなあ。エンディングの展開と照明が最高のマッチングを見せる。素晴らしい。

そして「REAL MAN」。おー、これはちょっと意外。いや、やるとは思ってたけどこれも5人編成でやるかなと予想してた。2月の高田馬場で3人で聞いた時に「これは5人で聞きたいなあ」と思ったんだけど…でも今回は3人でも満足。ある意味、3人の方がより「リアルマン」なんじゃないかとも思った。何だそれって感じですが、要はリアルなカーネーション?グッときたなあ、これも。

…頭の5曲でこんなに長々と書き連ねてどうするんだろう(苦笑)。でもねえ、それ位にこの頭5曲が充実してて。ここで「第一部終了」って言われても納得しそうな位に(笑)濃密な5曲。

そしてスペーシーなSEが鳴り響く中、サポートの2人が登場。ギター、先輩or兄貴こと(笑)中森さん。キーボード、渡辺シュンスケ from cafelon。このSEから「SUPER ZOO!」。ここからは「SUPER ZOO!」の世界を5人で見せていく。「レインメイカー」「気楽にやろうぜ」と来て、「Miss Cradle」では中森さんがスティールギターを弾く。

「LOVERS & SISTERS」では九段会館の時と同じように直枝さんがスタンドマイクで歌う。手持ち無沙汰で、見てるこっちは何か苦笑いしちゃうんだよなあ(笑)。今回はコーラスパートをキーボードで演奏。直枝さんが歌うバージョンも好きなんだけどなー。エンディングのコーラスは直枝さんが歌っていた。このファルセットがまた上手いんですよねえ。

そして「サンセット・サンセット」。おお、これは予想外。サビに来るまでわからなかった(笑)。エンディングのコーラスはシュンスケと大田さん。シュンスケさん歌うまいねえ。

ここまでは割とまったりとした感じだったけど、「十字路」から一気にバンドのテンションが上がる。シュンスケのピアノソロからちょっとしたセッションを挟む。楽しそうだなあ。そしてファンキーなインスト(これ何かスタンダードのカバーな気がするけど、曲名がわからなかった…)から始まったのは「Angel」。このAngelが物凄く良かったです。いつもいいことはいいんだけど、この日は今までのAngelとは何か雰囲気が違って。物凄く温かみのある「Angel」だったんですよね。余裕のある、というか。

今まで「Angel」って毎回最高で、聞く度にレベルが上がっていく曲だったんですよ。毎回毎回、臨界点を越えていく感じで、一時期なんかは「いつか直枝さんはこの曲を歌いながら死んじゃうんじゃないか」って思ってしまった位に。「そこまでやんなくても!これ十分にいい曲なんだから!」って、変なツッコミを入れたくなるような。とにかく毎回尋常じゃない気迫がこもってた曲なんだけど、この日はいい意味で肩の力が抜けてて、何だか凄くホッとした。これは勿論、最高のサポート2人のおかげなんでしょうね。ちょっと泣きそうになりました、ここ。

そして、この日のAngelは何とDEMO TAPEのバージョンで「夜と昼の間に〜」というパートが入る。これはビックリしたなあ。ここの間奏も引っ張る引っ張る。ホントにこの5人でセッションしてるのが楽しくて仕方ないんだなあ。さっき「温かみがある」「余裕を感じる」と書いたけど、結局最後は壮絶なことになっていた(笑)。

その熱を冷ますかのような「魚藍坂横断」。イントロのアルペジオを聞いただけで、すーっと汗が引く。ここまでの熱っぽい演奏とはうってかわって、フラットなボーカルを聞かせる。

アルバム「SUPER ZOO!」の流れに沿ってやってきた5人カーネーション、最後の曲は「RUNNIN' WILD」。これもエンディングのギターバトルが終わらない、終わらない(笑)。この曲10分くらいやってたんじゃないかなあ?何かもう観客のこととか忘れてるんじゃないかってくらいに(笑)各メンバーが楽しそうにやっていた。楽しそう楽しそうってそればっかり繰り返してるけど、だって本当にそうだったんだから仕方ない。はは。

このまま終わっても全然満足なんですが、まだ終わらず。再び3人編成に戻り「ぼうふら漂流族」!さっきまでの楽しさを前面に出したセッションとは違って、こっちはギリギリの緊張感がたまらない。でもさっきまでのモードと差がありすぎて、ちょっと付いていけなかったかなー、個人的には。ぼうふらだけに関して言えば、4月のAXの方が良かったか。つーか、さすがにこの辺ちょっとお腹いっぱいです。

最後は「あの日どこかで」。2月のPHASEもアッパーなナンバーを連発した後、最後にこれをやっていたなあ。正直アルバムで聞いた時には地味な印象しか無くて、聞く時も飛ばしてたりした曲なのですが(苦笑)ライブで聞いてからは大好きになった。

アンコールも、まずは3人で。2〜3月の九州ツアーで出来た曲「レディ・レモネード」を。サビから始まってちょっとビックリする。キャッチーだけど、割と最近の3人カーネーションの王道かなあ、という気がした。「獣たち」「ルネッサンス」と比べるとちょっとインパクトが弱いか?この曲も6/3のライブから会場限定で販売されるそうだ。「金沢のライブ(5/7)が終わって、東京に帰って来てスタジオ直行で録った」らしい。直枝さんが「何やってんだろうな俺たち…」って言ってた(笑)。はははは。でもなあ、ホントに今のカーネーションのこの精力っぷりは何なんでしょうね。3人とも40超えてんですよ?(笑) 40超えてるバンドのスケジュールじゃねえって、これは。

そしてサポートを呼び込んでもう1曲新曲を。これは金沢のライブで初披露したらしく、今日でまだ3度目?「パラダイス・エクスプレス」と曲名を言った瞬間にちょっとフロアが固まってたのがおかしかった(笑)。「そこまで行くか…」「行き着くとこまで行ったな…」的な。

で、これが!もうちょっと、最高すぎてどうしてくれようかと言いたくなるほどのド名曲。「あー、これは今までカーネーションにありそうで無かった曲じゃないか!」と思った。ソウル風味で、シンガロングなサビのコーラス、でも泣ける、みたいな。とにかくこれは今後のライブで間違いなくハイライトに配置される曲だ。これもシュンスケさんのキーボードが凄く良くてねえ。5人でやってきたツアーから産まれた、いやツアーが産んだ?名曲ですよ。

あー、この曲は本当に多くの人に聞いてほしい。というか聞かれるべき曲だ。だからこそこの曲は今の「録ってすぐ出し」シリーズ(勝手に名づけた)じゃなく、きちんとレコーディングして力の限りプロモーションして、万全の体制でリリースしてほしい。早く聞きたい、聞かせたいという思いもあるけど、そんな小さいところで収まる曲じゃないはずだ、これは。

そんなド名曲を聞いて「すげぇ…」と呆然としていたのですが、余韻に浸る間もなく(笑)「夜の煙突」が。久々に5人アレンジ、楽しいなあ。シュンスケさんホントに歌うまいねー。つーか、キーボードから離れて大田さんのマイクでコーラスしたり、椅子で鍵盤ガンガン叩いたり、弾けすぎ(笑)。最高ですね、あの人。


やっぱり凄いバンドだわー。特に今回は「5人カーネーション」「3人カーネーション」両方の魅力が思う存分楽しめた。とんでもなくお得なライブだったと思う。特に5人カーネーション、最初のMCで直枝さんが言っていた「決してノスタルジーにはならない」という言葉は嘘じゃなかった。5人でやったゾーンで古い曲って「サンセット・サンセット」くらいで、それも昔の5人時代の代表曲とかではないし。全体を通しても、古い曲を殆どやってないんですよ。去年の夏ツアーでその辺は消化したって感じなのかな。物凄く攻めてるセットリストだと思う。そして、このことに気付いたのもライブ終わってからなんですよね。ふとセットリストを見直してみたら「あれ、古い曲全然やってないんだな」って。ライブ中は全然気にならなかった。今のカーネーションがいかにいいものを作っているか、そしてそれを実際にライブで見せているのがよくわかった。

本当に、もっとお客さんいてもいいと思う。これだけのライブをやっているのにリキッドが埋まらない(つか、かなり少なかった)というのはちょっと悲しい。地方も結構客少なかったみたいだし。うーん。もっと沢山の人に見て、聞いてほしいなあ。僕が好きな数多くのバンドの中でも、一番その思いが強い。

「獣たち」「ルネッサンス」とタイプの違う2曲が来て、更に「パラダイス・エクスプレス」という超名曲が出てきている現状、これは一部の人だけが楽しんでそれで済ませていいものではないと思う。もう、そこまで言い切りたい。マジで。こんないいものを知っていながら、黙ってたくないです、僕は。